MBTIのFeとソシオニクスのFeの違いとは?外向的感情の2つの捉え方を解説

MBTI×ソシオニクス

「ルイケン ― 類型考察研究所」を運営している、まさなー(ENFJ Si-ESE(C) 2w3 271 Sx/Sp LEVF EFSA)です。

当サイトでは、MBTI・ソシオニクス・エニアグラムなどの類型理論をもとに、既存の理論を踏まえつつ、私自身の観察と分析から導かれる独自の視点も交え、タイプ理解をより深く探求していきます。

さて、今回は多くの学習者が混乱しやすい「MBTIのFe」と「ソシオニクスのFe」の違いについて、深く掘り下げていきます。

MBTIとソシオニクスは共に「Fe(外向的感情)」という用語を使用しますが、その意味するところは大きく異なります。

MBTIのFeは「他者の感情に意識が向く機能」であるのに対し、ソシオニクスのFeは「感情を外に表現して交流する機能」です。

同じ「外向的感情」という言葉でも、「外向」の意味するものが異なるため、混同すると自己理解や他者理解に支障をきたします。

本記事では、双方の違いを説明した後、Fe主機能のENFJを例にⓂFeとⓈFeの違いを明確にし、キャラクターや著名人の分析を通じて、両理論における外向的感情の本質的な差異を解説します。

はじめに-同じ「Fe」でも意味が異なる理由

MBTIとソシオニクスは、どちらもユングの心理学的タイプ論を起源とする性格類型システムですが、心理機能や情報要素の定義において独自の発展を遂げています。

特に「Fe(外向的感情)」という用語は両理論で使用されるものの、その機能的な意味合いは本質的に異なります。

本記事では、MBTIの外向的感情を「ⓂFe」、ソシオニクスの外向的感情を「ⓈFe」と判別をしやすく簡潔に表記し、両者の違いを明確に区別しながら解説していきます。

MBTIの外向的感情(ⓂFe)とは何か

他者の感情に意識が向く機能

MBTIにおける外向的感情(ⓂFe)は、他者の感情状態や集団の雰囲気に意識が自然に向く心理機能です。

ⓂFeを主機能や補助機能として持つ人は、他者が何を感じているか、集団内の感情的な調和が保たれているかに敏感であり、そこに働きかけようとする傾向があります。

この機能は、他者の感情ニーズを察知し、それに応じた対応をすることで他者や集団の調和を維持しようとする志向性を持ちます。

ⓂFeは「感情の受信機」としての役割を果たし、外部の感情的情報を取り入れて判断や行動の基準とします。

「外向」の意味―外部(他者)への関心

MBTIにおいて「外向的(Extraverted)」という言葉は、意識の方向性が自己の内面ではなく外部の対象、すなわち他者や環境に向いていることを意味します。

したがって、ⓂFeの「外向的」とは、感情という要素において他者の感情や集団の雰囲気という外部情報に意識が向くことを指しているのです。

ⓂFeを持つ人は、自分自身の感情よりも他者や集団の感情状態を優先的に認識し、それに基づいて行動を決定する傾向があります。

ソシオニクスの外向的感情(ⓈFe)とは何か

感情表現による感情交流の機能

ソシオニクスにおける外向的感情(ⓈFe)は、自分の感情を外に積極的に表現し、他者との感情的な交流を図る情報要素です。

ⓈFeは、感情の表出、感情的な雰囲気の創出、その場のノリや一体感を好むといった働きを持ちます。

ⓈFeを価値ある情報要素として持つタイプ(Fe価値タイプ)は、感情表現が豊かで、場の雰囲気を盛り上げたり、感情表現することで人との距離を縮めたりすることに価値を見出します。

感情表現そのものが交流の手段であり、感情を外に出すことで他者との感情的なつながりを実感します。

「外向」の意味―感情を外に出すこと

ソシオニクスにおける「外向的(Extraverted)」は、情報処理の方向性が内側(自己の内面)から外側(外部環境や他者)へ向かうことを意味します。

ⓈFeの「外向的」とは、感情を内に秘めるのではなく外に表現し、外部の他者と感情を交流させることを指します。

つまり、ⓈFeは「感情の発信機」としての役割を果たし、自分の感情を外に出すことで他者との感情的な共鳴や場の一体感を生み出そうとします。

対比としてのソシオニクスFi(内向的感情)の特徴

ソシオニクスの内向的感情(ⓈFi)は、ⓈFeとは対照的に、感情表現を控えめにし、他者との関係性や距離感、個人間の倫理観を重視する情報要素です。

ⓈFiを価値ある情報要素として持つタイプ(Fi価値タイプ)は、静かで深い感情交流を好み、感情を派手に表現するよりも、相手との誠実な関係性や静かな内面的な深いつながりに重きを置きます。

ⓈFeが「感情表現による一体感」を志向するのに対し、ⓈFiは「静かな共感と深い理解」を志向します。

この対比は、同じMBTIタイプであってもソシオニクスのタイプによって振る舞いが大きく異なる理由を説明する鍵となります。

ⓂFeとⓈFeの本質的な違い―比較表で整理

両者の違いを整理すると、以下のようになります。

項目 ⓂFe(MBTI) ⓈFe(ソシオニクス)
機能の方向性 他者の感情に意識が向く 自分の感情を外に表現する
「外向」の意味 外部(他者)の感情への関心 感情を外に出すこと
主な働き 他者の感情ニーズを察知し応答する 感情表現を通じて交流し一体感を作る
役割 感情の受信機 感情の発信機
重視する要素 集団の調和、他者の感情状態 感情表現、場のノリ、感情的一体感

この表から分かるように、ⓂFeは「外の感情を受け取る」機能であり、ⓈFeは「外に感情を放出する」機能です。

両者は同じ「外向的感情」という名称でも、機能の本質が異なると言えます。

主機能ⓂFeのENFJを例として見るⓈFeとⓈFiの違い

これらの比較としてわかりやすいように、主機能FeであるENFJを例として、解説をしていこうと思います。

MBTIのENFJタイプは、主機能としてⓂFeを持つため、他者の感情に強く意識が向きます。

しかし、ソシオニクスにおいてENFJに対応するタイプは複数存在し、それぞれⓈFeを価値あるものとするタイプ(Fe価値タイプ)と、ⓈFiを価値あるものとするタイプ(Fi価値タイプ)に分かれます。

特にENFJに多いソシオニクスタイプとして、Fe価値にはEIEやESE、Fi価値にはIEEやEIIが比較的多く見受けられます。

ENFJ×Fe価値(EIE/ESE)―感情表現で他者に働きかける

ソシオニクスのEIEやESEは、ⓈFeを価値ある情報要素として持つタイプです。

これらのタイプは、MBTIのⓂFeによって他者の感情に強く意識を向けながら、ⓈFeによって自分の感情を積極的に外に表現します。

EIEの場合、ⓈFeの感情表現を通じてⓈNi(内向的直観)による未来のビジョンや理想の実現のために人々の心を動かそうとします。

ESEの場合、ⓈFeの感情表現を通じてⓈSi(内向的感覚)による明るく楽しい居心地の良い環境を人々に提供します。

いずれのタイプも、感情表現そのものが他者との交流手段であり、その場の一体感や感情表現によるつながりを重視する点が特徴です。

ENFJ×Fi価値(IEE/EII)―関係性重視で静かに深く関わる

一方、ソシオニクスのIEEやEIIは、ⓈFiを価値ある情報要素として持つタイプです。

これらのタイプも、MBTIのⓂFeによって他者の感情に強く意識を向けますが、その働きかけ方はⓈFiの特性に基づきます。

IEEの場合、ⓈNe(外向的直観)による多様な可能性の探求を、ⓈFiによる誠実で倫理的な関係性の構築を通じて行います。

感情表出は控えめであり、相手との個別の関係性や相互理解を大切にします。

EIIの場合、ⓈFiによる深い倫理観や価値観を基盤として、ⓈNeによる可能性の模索を静かに進めます。

これらのタイプは、感情を派手に表現するよりも、相手との深いつながりや誠実な関係性、倫理的な一貫性を重視します。

その結果、同じMBTIのENFJであっても、Fe価値タイプとは振る舞いが大きく異なるのと言えます。

実例で理解する―キャラクターと著名人の分析

理論的な説明だけでは抽象的に感じられるため、実際のキャラクターや著名人を例に挙げて、ⓂFeとⓈFe・ⓈFiの違いを見ていきます。

以下の分析は、私の考察に基づくものであり、キャラクターの描写や公開情報をもとに推測したタイプ判定です。

ENFJ-EIE型:煉獄杏寿郎、松岡修造

煉獄杏寿郎(『鬼滅の刃』)と松岡修造は、ⓂFeによって他者の感情に強く意識を向け、ⓈFeによる豊かな感情表現を通じて人々を鼓舞するタイプです。

煉獄は、仲間や後輩の感情状態に敏感であり、彼らの心を支えようとする姿勢が顕著です。

同時に、ⓈFeによる情熱的で力強い感情表現を通じて、ⓈNiによる「人としての在り方」や「守るべきもの」といった未来のビジョンへ向けて人々の心を動かします。

松岡修造も同様に、他者の感情を察知しながら、熱いメッセージと感情表現で相手の心を動かしモチベーションを引き出します。

これらの人物は、感情表現そのものが他者への働きかけの手段であり、その場の一体感や感情的な共鳴を生み出すことに長けています。

ENFJ-ESE型:オールマイト、サンジ

オールマイト(『僕のヒーローアカデミア』)とサンジ(『ONE PIECE』)は、ⓂFeによって他者の感情に意識を向けながら、ⓈFeによる温かく明るい感情表現を通じて、ⓈSiによる居心地の良い環境や楽しい雰囲気を作り出すタイプです。

オールマイトは、人々の不安や恐怖を察知し、ⓈFeによる笑顔と力強い言葉や行動で、ⓈSiによる「平和な日常」や「安心できる社会」という価値観を元に安心感を与えるために人々を守ります。

サンジは、仲間の感情や体調に敏感であり、ⓈFeによる気配りや感情表現と温かい対応、そしてⓈSiによる美味しい料理や快適な食事環境の提供を通じて、仲間を支えます。

これらの人物は、感情表現を通じて他者を世話し、楽しく居心地の良い場を作ることに価値を置いています。

ENFJ-IEE型:ジョナサン・ジョースター、波風ミナト

ジョナサン・ジョースター(『ジョジョの奇妙な冒険』第1部)と波風ミナト(『NARUTO』)は、ⓂFeによって他者の感情に意識を向けながら、ⓈFiによる誠実で倫理的な関係性を構築し、ⓈNeによる多様な可能性を広げるタイプです。

ジョナサンは、他者の苦しみや悲しみに深く共感し、ⓈFiによる紳士としての倫理観や誠実さをもって接します。

感情表現は大げさではなく控えめで穏やかにして、相手との信頼関係や誠実なつながりを大切にし、ⓈNeによる柔軟な思考で新たな可能性を模索します。

波風ミナトも、仲間や部下の感情に配慮しながら、ⓈFiによる誠実で穏やかな関係性を保ち、ⓈNeによる思考で多様な選択肢を見出します。

これらの人物は、感情を派手に表現するよりも、相手との穏やかな信頼関係や倫理的な一貫性を重視します。

ENFJ-EII型:竈門炭治郎

竈門炭治郎(『鬼滅の刃』)は、ⓂFeによって他者の感情に強く意識を向けながら、ⓈFiによる深い倫理観や価値観を基盤として行動するタイプです。

炭治郎は、敵である鬼に対してさえもその悲しみや苦しみを察知し、共感を示します。

ⓈFiによる「命の尊さ」や「家族への愛」といった倫理的な価値観が彼の行動原理であり、それを基盤にしてⓈNeによる柔軟な思考で様々な可能性を探りながら、相手との誠実な関係性を築こうとします。

感情表現は外向型のIEEよりさらに内省的で静かで穏やかであり、派手さよりも深い共感と理解を重視します。

炭治郎は、ⓈFiの感情交流における静かさと深さ、そして倫理的な一貫性を体現するキャラクターと言えます。

まとめ-ⓂFeとⓈFeを区別することで得られる洞察

MBTIの外向的感情(ⓂFe)とソシオニクスの外向的感情(ⓈFe)は、同じ「Fe」という表記を持ちながらも、本質的に異なる機能です。

ⓂFeは「他者の感情に意識が向く」という受信機的な機能であり、ⓈFeは「自分の感情を外に表現する」という発信機的な機能です。

「外向的」という言葉の意味も、MBTIでは「外部(他者)への関心」を、ソシオニクスでは「感情を外に出すこと」を指します。

ENFJというMBTIタイプ一つを取っても、ソシオニクスのFe価値タイプ(EIE/ESE)とFi価値タイプ(IEE/EII)では、感情の表現方法や他者との関わり方が大きく異なります。

Fe価値タイプは感情表現を通じて一体感を作り出すのに対し、Fi価値タイプは静かで深い関係性と倫理的な一貫性を重視します。

この違いを理解することで、同じタイプ表記でも個人差が生じる理由が明確になり、自己理解や他者理解の精度が向上すると思います。

MBTIとソシオニクスを併用する際は、用語の混同に注意し、それぞれの理論における定義を正確に把握することが重要だと言えます。

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